微糖の時代

このところ缶コーヒー市場は微糖分野が主戦場なのだそうである。アサヒ飲料のワンダシリーズや日本コカコーラのジョージアに微糖のものが続々と登場している。この傾向は昨年あたりから顕著だが、今年はまた夏が冷夏で売り上げが伸びなかったのを微糖で取り戻そうという各飲料メーカーの動きが激しい。しかしなぜ今微糖なのか。紙パックやペットボトルの分野でも同じ微糖シフトの様相を呈している。これはコーヒーだけの話にとどまらず、すべての加工食品が甘くなっているのではないかと私は疑っている。
最近、家でおでんを作ると、べつに甘みを加えているわけでもないのに妙に甘くしあがる。またベーコンの入ったスパゲッティカルボナーラやオムレツを作るとこれまた奇妙な甘さが舌に感じられる。これはいったい何なんだと思いつつも、しばらくは原因がわからなかった。しかし最近になってやっとその原因が私にもわかってきた。材料に問題があるんだと。おでんならごぼう天とかの水産練り製品、オムレツならベーコンを疑わないといけない。これらすべてに生産段階で甘みが加えられており、調理の際に安っぽい甘みが出てくるのだ。事実これらの食材の成分表示にはたいていステビア等の甘味料が書かれている。
よくもやりやがったな、いらぬお世話だというのが私の見解だ。いつからこんなことになってしまったのか。味覚の幼児化に他ならないではないか。売れるためには何でもするというのがナショナルブランドの戦術だからしかたないのであろうか。本物の味が欲しければよそで買えとでも言う仕打ちだ。
最近、明石の魚の棚商店街で買い物をした。余談ではあるが棚はもともと店という字だったと思う。ここで買った水産練り製品はどれも甘くはなかった。本当の味を求めるのなら明石まで行けというのでは残酷ではないだろうか。微糖への傾斜をやめて食品本来の味にナショナルブランドのメーカーが舵を切らなくてはいけない。簡単に考えてはいけない。彼らのやっていることはわが国の食文化の破壊なのだ。
あらゆる食品に含まれている甘味に監視の眼を注がなければならない。ごくごく大衆の方は既に騙されてしまっているから、その安っぽい甘みに気がついていない。まわりじゅうが微糖だらけなのに「甘さ控えめのケーキじゃないと嫌」というひとが多いというあたりに一般人の味覚に対する鈍感さが現れているのではないだろうか。






